⑪舞台セットの話しⅡ | 第三回公演の記録

家に帰って、早速、図面の書き直しと、大道具作成として、わたしがやらなければいけないことを整理してみました。

 

部屋の壁は、劇場のスタッフさんとの話し合いの中で、2m×3.6mの面積のものを作らなければなりませんでした。

 

しかし通常のベニヤは、1.8m×0.9mですので、簡単に三枚並べてくっつけるというわけにはいきません。

 

そして3枚をつなげるのは、仕込みの当日に劇場のスタッフさんがやってあげると言っておりましたが、もしわたしがまずい作り方をして、当日うまく連結できなかったらどうしよう、と大きな不安がありました。

 

また、壁を支えるには、俗に「人形」と言う、三角形の支えの部品を作らなければなりませんでした。

 

それも、角材とベニヤを切り貼りして作るのですが、人形の数も、8つほど作らなければならず、おまけに壁には最後に、ベージュ色の塗料を塗らなければならないのです。

 

それらのことを、冷静に後で見直してみると、結構やることは多いし、そもそも、どう作るのかというところで、自分の頭の中でなかなか消化できなくて、大道具の設計書のようなものを作って、壁を作成する上での仕様を考えましたが、考えれば考えるほど、わたしには負担が重いし、リスクも大きいと思うようになってきました。

 

もうひとつ難点をいうと、材料費です。わたしは当初、大道具は、二段ベッドは別として、2、3万で済むと思っていたのですが、ネットなどで、ベニヤや角材の値段をきちっと調べてみると、全部揃えると予算オーバーしてしまうということもわかりました。

 

作り方も自信がないし、予算も一杯一杯だし、どうしようということになりました。もし自前で作るなら、相当の覚悟が必要です。

 

butaizuさて、アマチュアシアターのリーダーとして必要なのは、自前でやるのか、そこはプロに頼むのかその判断をすることです。

 

お金をケチったり、自分の意地でやっても、もし本番に差しさわりがあるようなら、それは、プロに頼むべきなのです。

 

もちろんプロに頼むとお金はかかるかもしれませんが、頼んだ点に関しては、きちっと実現してくれます。

 

たとえ、アマチュアであっても、おんど取った人間には、それを実現する責任があるのです。本番になって、「間に合わなかった、ごめーん」、などというわけには絶対にいかないのです。

 

たとえ貧しい公演であったとしても、最低限、メンバーに約束したことは、実現するように判断し、準備するのが、おんど取った者の務めなのです。

 

と、言うことで、いろいろ考えた末、今回は、舞台セットは、プロの製作会社にお願いすることに決めました。

 

希望としては、舞台監督と、当日の舞台セット設営、終演時のばらしをお願いしようと思いました。

 

もちろん、当日の仕込みや、ばらしは、メンバーも手伝うことは大前提ですが。

 

それで、予算からいくら位なら出せるかと、計算した結果、7万円位なら出せそうだということが分かりました。

 

その中には、舞台セットの製作・設営、本番前日の仕込み作業、本番当日の管理とばらし作業等が入っていました。

 

 

それで舞台製作会社を探すことになりました。

 

その時、たまたま、気になる会社がありました。

 

社会人劇団のホームページを検索して見ていたりした時に、ある劇団さんが、旗揚げの時からお世話になっているところで、なんでもやってくれるいい会社です、とHPにリンクして紹介されていた舞台製作会社があったのです。

 

そのリンクは以前だいぶ前に見たものですが、わたしの頭の中に残っていて、何かの時には、お世話になろうと思っていたのです。

 

早速、その劇団のリンクから、会社のHPに入って、仕事依頼の問合せをしました。

 

するとすぐにメールで返信があって、一度会って話を聞きたいと言ってきました。

 

それで、7月の頭ぐらいだったでしょうか、新宿の喫茶店で待ち合わせをして会うことになりました。

 

その時は、しろれさも同行しました。打ち合わせには、その会社の代表の方が一人で現れました。

 

軽く自己紹介した後、やってもらいたいことについて、図面などの資料を見せながら、伝えました。

 

大体こちらのお願いを話した後、最後にお金の話をしました、「以上のことをですね、えっと、7万円の予算でお願いしたいのですが!」と思いきって言うと、向こうは、あっさり、「はい、わかりました」と言ってくれました。

 

それでわたしは「あの、もしもう少し、費用がかかるようでも、お願いしたいと思いますので」というと、「いえ、予算に収まるようにやるので大丈夫ですよ」と返ってきました。

 

ぼくはほっとしました。そして、今度は、実際に劇場を見て、具体的な話を詰めましょうということになりました。

 

そんな感じで初めての舞台製作会社との打ち合わせが終わって、帰り際、しろれさと、あそこに頼んでよかったね、とにこやかに話しながら、帰途につきました。

 

ところが、この後、どんでん返しがあったのでした。

 

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