⑫舞台セットの話しⅢ | 第三回公演の記録

この打ち合わせの後、はじめて稽古の時、メンバーにも伝えました。

 

「舞台のセットに関しては、当初ぼくが全部作ろうと思っていたけど、いろいろ考えて、プロに頼むことにしました。○○○という製作会社です。費用も予算内なので安心してくださいね」と伝えました。

 

わたしも少し荷が下りた気がしました。

 

さて、それで今度は、劇場で、その舞台製作会社の代表さんと、打ち合わせをする予定を決めました。

 

それにはゴンジにも参加してもらうことにしました。

 

今回は、ゴンジが、この舞台セットを活かす上でキーとなる役者でしたので、ゴンジにも、劇場に慣れてもらうことも兼ねて付き合ってもらいました。

 

打ち合わせは、平日の午後7時から劇場でやりました。

 

打ち合わせ当日、劇場で、いろいろ検証しながら、およそ2時間近く話をし、2時間を超えても打ち合わせが終わらなかったので、さすがに劇場の人に、もう終わりにしてくれと言われてしまい、それで劇場を出てから劇場の前で、更に50分位立ち話で、打ち合わせの続きをしました。

 

 

で、展開としては、どうも前に劇場のベテラン演出家さんと話したような感じになってしまったのです。

 

どういうことかというと、劇場の中でも話をしていて、空間的な事柄や、ものの作りの話になると、わたしの理解能力が、激減するらしく、彼は簡単なことを話しているつもりなのに、ぼくはなかなか理解ができずで、押し問答みたいなのがずっと続いてしまったのです。

 

「いいかい、全然難しい話していないのだから、これ位わかってくれよ」、そう言われると、わたしだって、分かりたくなくて分からないのじゃない、一生懸命わかろうとしているけど、理解がついていかないんだ、という気持ちになって、なんかお互い軽くむっとした感じになってしまいました。

 

彼が「君は分かるよね?」とゴンジに振ると、ゴンジは「はい、分かります」とかいうのだけど、ゴンジに分かったって責任者であるわたしが分からなければ、意味がないのだし、と思って、再び、彼をわたしの方へ向かせました。

 

これはわたしの主観的な意見かもしれませんが、仕事のできる人の中には、自分の中で簡単だと思っていることを、なかなか理解したり、やれない人のことを、軽んずる傾向があるように思います。

 

なんか、彼もその時の打ち合わせで、そんな感じがしました。

 

まあ、そんなこんなで、結局3時間の位の打ち合わせが、終わり解散となりました。

 

もう時間は、夜の10時です。

 

のどがからからで、ペットボトルをぐびぐび飲みながら、わたしはゴンジに言いました、「全然難しいことじゃないんだから、って、俺にとっては難しいことなんだよ、ムカつくぜー」と、ゴンジに愚痴りました。

 

ゴンジは黙ってわたしの愚痴を聞いていました。

 

さて、その後、その時の打ち合わせを元に、さらなる質疑がメールベースで行われたのですが、今度は、なんだか、こちらに送ってくるメールの文面が、ぞんざいになってきて、なんか嫌なムードのやり取りが続きました、次第に、それは演出で何とかすべき、とか、これについては考慮されていますかね、と専門用語でいかにもわたしが知らなそうなことを指摘し、最後には、わたしのメールでの質問に対して、一言、「意味がわかりません」と返してきました。

 

わたしは、チキショー、なめやがって、バカにしやがって!という思いがわきあがってきて、それで、そのメールを、しろれさに読んでもらいました。

 

そしてわたしは言いました、あいつは、俺をバカにしているんだ、舐めやがってー。しろれさは、「バカにしているかどうかは分からないけど、この「意味がわかりません」という回答はないよね、お客なんだし、分からないところあれば、質問すべきだよね、確かにこういう書き方は失礼だよね」と言ってくれました。

 

わたしはもう彼とやり取りするのは、嫌になっていて、それを伝えたら、「けいちゃんが、そういう気持ちになっているのならしょうがいないよ、ここに頼むの断ってもいいんじゃない」と言ってくれました。

 

それでわたしは決めました、新しい、製作会社を探そう、そして、やってもらえるめどがついたら、この舞台製作会社には仕事断ろう、と。それが9月終わり頃、公演の2カ月ちょい前のことでした。

 

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