立ち稽古は、第一工程:荒立ち、第二工程:抜き稽古・返し稽古、第三工程:通し稽古、という順番で進めてゆきます。
荒立ちでは、その名の通り、シーンの頭から、ラストまで大体の動きを付けてゆきます。
「ここでこのセリフを言って、3歩進んで、振り向く」、みたいなことを「段取り」といいますが、これを決めていくということです。
当然この工程は、既に演出者にイメージができていなければなりませんし、稽古前の演出者の予習は必須です。
また、稽古場においても、演出のリーダーシップの元、稽古は進行します。
まあ、本番の稽古すべてにおいて、演出者にリーダーシップは必要とされますが、荒立ちを無事終わらせることは、演出者にとって大きな山の一つとなります。
プロフェッショナルな役者を相手にする荒立ちでは、初めのきっかけや舞台の構造(出入り口、舞台セット)を伝えておけば、演出者が指定しなくても、かなりの部分を役者だけで作ってしまうものですが、アマチュアシアターは、今回もそうですが、出演者のほとんどが初舞台ですし、そうでなくても、舞台出演歴は少ないので、荒立ちは大いに演出者がリードしなければなりません。
では、実際の荒立ちですが、結果をいうと、今回結構順調に進んだように思います。
アマチュアシアターのレギュラーの稽古で、舞台に立ったことはないにしても、既に、ひとつのシーンを立つところまでを経験していますので、そのおかげでだいぶスムーズに本番の稽古に入ることができたのです。
また立ち稽古の稽古スケジュールは、何日にどこからどこまでをやるということを、計画表を作って、明確にしています。
幸い、今までの全三回の公演とも、スケジュールは基本守られ、大幅なリスケ(スケジュールの組み直し)はなく、進められました。
また、音響も最終的に決めてしまうのは、荒立ちが終わるまでが期限です。
音響、つまり、効果音と曲(BGM)は、第二回目の公演からわたしが全部決めています。
これは、なるべく読み合わせが終わるまでにがんばって探します。音響、特に曲があることで、演出者の描いている芝居のイメージを具体的に伝えることができるからです。
今回も、メインの曲は、読み合わせ中に決めて、効果音等細かい音は、荒立ち稽古の間に全部決定させました。
今回第三回目の公演では、音源の調達に関して、新しいことを学習しました。
今まで音源といえば、曲か効果音で、既に作ってあるものを、何らかの形で入手(効果音CDをレンタルしたり、ユーチューブとかからダウンロードしたり)して、使っていたのですが、今回は、効果音を自分で作るということを経験しました。
実際にはどんな音なのかと言うと、今回の芝居の舞台は、主に部屋の一室なのですが、その真ん中に二段ベッドがおいてあって、その二段目から天井の板を動かして、天井にもぐりこむ、というシーンがあるのです。
しかし実際には、天井の舞台セットまで作れないので、そこは役者の無対象のしぐさで表現しようということになったのです。
つまりそのしぐさに合わせて天井の板をずらす音を、音響で出すということです。
実はこのアイデアは、劇場のスタッフの方の提案だったのですが、わたしが天井をずらす音の音源なんてあるかしら、と言ったら、自分で生音を作って、録音しちゃえばいいんだよ、とアドバイスしていただきました。
要は、木がこすれる音があればいいのだから、角材で段ボールの箱かなんかをこすって、その音をレコーダーで取ればいいということでした。
角材はちょうどいいのが、たまたま劇場にあるというので、ただでいただいて、録音には、前々からほしかったICレコーダーを購入して使いました。
でも実際は、やってみるまでは、そんないい音とれるかしらと思っていたのですが、自宅で、音をとって再生してみると、なかなかリアルでグッドな効果音がとれました。
ということで、必要な効果音は、必ずしも市販の効果音CD(もちろんレンタル)に頼らなくても、自分で録って、作ることができるということ学んだのでした。