いよいよ本番当日です。
本番では、いままで登場しなかったスタッフさんが必要となります。
いわゆる受付スタッフです。
これは、チケットの販売と、パンフレットの配布を行います。
チケットの売買はお金が絡むことなので、責任が伴います。
従ってしっかりした人にお願いしないとなりません。
今回は、以前アマチュアシアターの稽古に参加しくれていた、大学生で、今年の4月から、新社会人となる「おさむ」がしっかり担当してくれました。
本番一週間前に会って、受付の時の仕事の手順などを打ち合わせしました。
彼は優秀な学生ですので、理解が早く説明は楽でした。
マックブックを携帯していて、わたしの言うことは全部そこに打ち込んでいました。
最近の大学生は、かっこいい。
また前回AT公演の出演者で、ATからは離れましたが独自に演劇活動も続けている「ナヲ」も駆け付けてくれました。
実はナヲは、職場では会社の経理を担当しているのです。
そんなしっかり者の二人に受付を担当してもらったので、こっちはすごく安心して任せることができました。
場内整理は、めぐさんがやってくれました。
めぐさんはなんでも意欲的で、場内整理もそうだし、MCもぜひやりたいと言ってくれましたので、お願いしました。
MCとは、開演前に、観客に向かって、上演に際してのお願い等をアナウンスすることです。
「携帯の電源はお切りください」とか、そういうやつです。
わたしはてっきりそんな役はやりたくないと思っていたので、わたしがやろうと思っていましたが、初心の人と言うのは、なんでもやりたいものなのですね、MCの話を振ってみたら、ぜひやりたいとのことでした。
それで言うべきことのメモ書きを渡して、開演5分前になったらアナウンスするようにお願いしました。
またもう一人、今度は、劇場の外に立って、公演の案内をしてくれた人がいました。
「しゅうしゅう」です。
しゅうしゅうは、もちろん、ニックネームですが、以前やはりアマチュアシアターの稽古に参加してくれていて、はじめから、仕事と家庭との兼ね合いがあるから、続けられるかわからないと言っていました。
それでじゃあ、続けられるかどうかわかるまでお試しで稽古に参加してください、ということで稽古場に3カ月ほど来ていた元メンバーです。
しゅうしゅうは実は、わたしより、年が上ですが、とても人柄のいい、人懐っこい、笑顔の素敵な人です。
あ、男性です。
今回の劇場のプロト・シアターは、大通りから、ちょっと小道に入った、住宅街の中にポツンとあるところなので、はじめての人にはちょと分かりづらいのです。
そしたら、しゅうしゅうが、「じゃあぼくは、劇場の外に立っています、そうすればお客さんもそれで劇場の場所がわかるんじゃないかな」、とそう提案してくれました。
12月の寒い中、しゅうしゅうは劇場の外の路上に立って、お客さんの目印になってくれたのです。そんな気遣い、感謝でした。
受付では、チケットの交換と同時にパンフレットを配るのですが、それは、元メンバーで天使のような笑顔が素敵な「かな」がやってくれました。
受付や場内スタッフに野郎が多い中、かなが花を添えてくれたのです。
ところでチケットですが、これは、今回、はじめてオリジナルのチケットを作りました。
これはチケット用の用紙を買ってきて、それにパソコンで作った原稿を印字するだけの簡単なものでしたが、結構、立派なものができました。
160枚作って費用は360円(紙代のみ)でした。
パンフレットは、前回と同様にオリジナルのものを作りました。
オリジナルと言っても、B4サイズの紙一枚に、両面コピーして、2つ折りにした簡単なものです。
これは120枚刷って、コピー代が、1枚5円のところでやったので、費用は、1,200円でした。
そして、今回は、オリジナルのチラシも作りました。
これも今回が初めての試みです。
全体の構成はぼくが考えて、後は、イラストがほしいねと言ったら、元漫画家志望の知人をしろれさが紹介してくれて、その方にイラストをお願いしました。
そして今回の芝居の、主人公二人の素敵なイラストを描いて送ってきてくれました。
さすが漫画家志望(結構本格的)だっただけあって、色遣いとか素晴らしかったです。
また、劇場までの地図もオリジナルの分かりやすいのを付けたいと言ったら、これはしろれさが買って出てくれて、GIMPというフリーのソフトを使って、作ってくれました(彼女の本職はプログラマーなのです)。
こんな感じで手作り感たっぷりのチラシが出来上がりました。
さて、今度は芝居の動員の話ですが、実は、今回は、みんなよくお客さんを呼んでくれました。
前回が、2ステージ合わせて、動員数46人だったので(少ないですよね)、今回はどうなるだろうかと心配していました。
客席は、大体50席を考えていました。
そしていざ動員を開始してみたら、あっという間に、ぼくと役者を合わせた予約数が、100名を超す勢いになりました。
それが2週間位前のことです。
それで、稽古の時に、役者のメンバーに、お客さんがたくさん入ってくれるのはいいのだけど、いまの調子で予約受けていると、お客さんぎゅうぎゅう詰めになるか、最悪、入れなくて、帰ってもらうことになってしまうかもしれない、と伝えました。
そして、思いもよらず嬉しい悲鳴なのですが、わたしは、関係の薄い人から、予約をお断りすることにするよ、ということを役者のメンバーに伝えました。
わたしは、やはり役者のお客さんが一番大事だと思っていて、演出者であるわたしの動員を制限すればいいと思ったのです。
そしたら、役者のメンバーも、観に来てくれる友達がぎゅうぎゅう詰めになるのは嫌だし、入れなくなるのも困るので、動員制限に協力すると言ってくれました。
とりあえず、10日前の段階で、動員は、これ以上しないこと、それと、昼と夜の動員が偏るとやはり、片方のステージだけガラガラで、もう片方は入りきれなくなるといった可能性があるので、なるべく昼と夜が偏らないように、調整してもらうことになりました。
ところで、わたしの理解している役者像では、役者とは一人でも多くの人に自分の芝居を見てもらいたいと熱望するもので、動員の制限の協力なんてしてくれるわけないと思っていました。
なので協力すると言ってくれた時には正直驚きました。
ああそこがやはり、アマチュアシアターなんだなあと思いました。
普段は社会人として頑張っている彼らは、みんな思い遣りがあるし、協調性があるのです。
特にりんごは、人の立場になってものを考えられる人で(中々できることではない、その意味でわたしは尊敬している)、けいちゃんだけに、断らせるのは悪いからと言って、りんごも数人、お客さんを断ってくれました。
さすが、りんごやねえ、と思いました。
しかし本当に、役者のお客さんのためにわたしのお客を減らすのは、わたしの立場では仕方ないかなと思っていたので、そこはわたしのお客さんだけが減るのでも一向に構わなかったんですけどね。
さて、実際の動員ですが、昼夜合わせて104人でした。
これは、基本、50席の予定で作った客席としては、満員御礼と言っていい状態でした。
昼は、49人でしたが、夜は、55人入りました。
人数的には大したことないかもしれませんが、まあ小屋が狭いので、劇場は盛況感がかなり出ていました。