②公演に向けての準備 | 第一回公演の記録

公演に向けての準備①

 

まずは、台本探し。すでに候補がありました。

 

それは主任が提案してくれた本で、以前に主任が所属していた社会人劇団でやったことがある台本で、主任一押しのものでした。

 

それは、寺山修司の『鰐』(わに)、という作品でした。

 

寺山修司が初期にTVドラマ向けに書いたシナリオでした。

 

基本は二人芝居で、演出しだいで、30分くらいで収まるはず、ということでした。

 

寺山さんにしては、わかりやすい話で、ミステリー風で、最後に落ちもあるという確かに面白い本でした。

 

りんごが入った時には、既にぼくもマミコも読んでいて、これでいいんじゃないか、という結論にはなっていたのです。

 

しかし、りんごをいれてその本をやるには非常に大きな問題がありました、というのもその本、男と女の二人芝居だったのです。

 

(あれ~、じゃあ、『鰐』は使えないじゃないか、女性2人の二人芝居の本を探さないと~)

 

それで、ぼくとマミコとりんごの3人で改めて、2人芝居の戯曲を探しました。

 

しかし、適当なのが見つからなくて、どうしようかなあと思っていたところ、ふと主任に相談の電話を入れたら、

主任曰く、「片桐(『鰐』の男の役名)を女性がやっても問題ないんじゃないの」と言われ、ぼくもそれを聞いて、

 

(ああ!その手があったか、そうか何も男の役だからって、男性がやらなきゃいけないってことはないわな、なんでそんな簡単なことに気がつかなかったのか!!)

 

しかもちょうど、りんごは先にも書いたとおり、女性としては長身の方なので、彼女を片桐にして、絹子(女の役名)をマミコがやればちょうどバランスもいいのです。

 

こうして主任のこの一言のアドバイスで、結局元の候補であった『鰐』を上演台本にすることになったのでした。

 

次に、大きな準備として、劇場のこと、スタッフのこと、予算のこと、というのがあったのですが、これはすでにこの段階では、どう実現させるかは、考えていました。

 

小人数で公演を打ちたいとき、一番の問題は予算、金のことだと思いますが、ぼくは、公演が二人芝居になりそうだなと思っていた時から、南阿佐ヶ谷の小劇場ひつじ座の30分劇場に参加しようと決めていました。

 

詳しいことは、別のところでご紹介したいと思いますが、30分劇場とは1グループ30分の4本立てのオムニバスの劇場企画公演のことで、1グループの参加費は3万円ぽっきりで、これで宣伝チラシからチケット、受付、照明・音響のオペまで全部劇場がやってくれるんです。

 

3万円と役者さえいれば、30分時間をもらって、お客さんの前で公演ができるという、人とお金がないけど舞台には立ちたいというグループには非常においしい企画なのです。

 

難をいえばというか、これだけおいしい話だから当たり前のことですが、平日の夜のワンステージ公演ということと、他のグループも同じ舞台で芝居をするので、基本的には舞台セットは不可で、しかも必ず30分以内に抑えなければならないという大原則があるというところでしょうか。

 

とにかくぼくはこの公演では30分劇場を利用しようと思っていたので、台本以外の準備のほとんどはこれでクリアできてしまったのでした。

 

 

公演に向けての準備②

 

稽古期間についてですが、普通の劇団の公演だったら、2か月から3か月位かけるのが一般的だとは思いますが、ATの場合は、基本日曜日 のみということでしたので、普通よりも2、3倍は多く取らなければならないと考えていました。

 

具体的に言うと、稽古期間は、8か月(30分の芝居にですよ)、はじめの6ヶ月は、隔週日曜日の4時間、7ヶ月目からは隔週日曜日の8時間、最後の一ヶ月は毎週日曜日の8時間、というようなプランを考えていました。

 

またその他に祭日など多い月(ゴールデンウィークなど)は 一日多く稽古を入れるなどして、実際も大体このペースでゆきました。

 

12月から本番の稽古をスタートするということでしたので、それから数えて8ヶ月後ということで、翌年(2007年)7月の30分劇場に参加することとしました。

 

30分劇場は当時ほぼ毎月やっていて、担当者に聞いてみたところ申込書を出しておいてくれれば、2か月前くらいに改めて連絡をするとのことでした。

 

むろん、8か月も前から申し込むグループなんていないでしょうから。

 

また、本番の日程も1か月前くらいに劇場の貸出状況等を考慮して決めるということでしたので、とにかく翌年7月に参加するということだけが決まりました。

 

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