本番の稽古のスケジュールをはじめに書いておくと、
3月~5月一回目の稽古:本読み(読み合わせ)
5月二回目の稽古~7月の最後の稽古:荒立ち(7月の途中より毎週日曜日に切り替え)
8月~9月二回目の稽古:返し稽古・抜き稽古
9月三回目の稽古~本番3日前:通し稽古
10月17日:小屋入り、場当たり、ゲネプロ
10月18日:本番(2ステージ)
以上のスケジュールは、稽古日も含めて、本番の稽古のはじまりと同時に配りました。
長い長い稽古のはじまりです。
結論的には、ほとんどこの予定通り進みました。
(けいちゃんのスケジューリング、ナイス!!)
読み合わせ稽古ですが、これには次のことを重点においてやりました。
まずは、この戯曲の内容を理解すること、そして、役者が自分の役の意味・役割、そしてその役に一貫して流れるもの・感じをつかむこと、です。
特に今回の「寿歌」は読むと一見不条理風でもあり、でも実は結構、モチーフと言うか主題は一貫していて、しかもそのモチーフがとても精神的・観念的だったりするので、その辺のところを、今回は演出としては、ある程度役者に伝えることに力をいれました。
いろいろ解釈レジュメなどを作って配って説明したりました。
若干レクチャー風にもなったし、どこまで役者たちに伝わったかはわからないけれど、本読み稽古の後半や立ち稽古に入ってからは、観念的な話などしている暇はないので、稽古のはじめの内にわたしなりの理解を伝えようと思い、主に本読みの前半で、このシーンではどんなことをいっているのか、みたいな話を随所にいれて稽古をすすめました。
わたしの考えでは、役者は、別にすべて完璧に、自分の役や台本について理解している必要はないと思いますが、その本のもっている雰囲気とかその役の感じや底に流れるものみたいなものは、感覚的でいいので、わかってなきゃいけいないとは思います。
そして役の感じさえ自分でつかめたら、後はあまり難しいこと考えないで、思い切って自分のやりたいように演技してみればいい、よっぽどおかしければ演出が直すからみたいに考えています。
ところでこの時期にひとつ残念なことがありました。
読み合わせも3回目か4回目を過ぎた頃だったでしょうか、ダブルキャストでキョウコ役のメンバーこばゆきがATを辞めると言ってきたのです。
理由は、まあ微妙なんですが、どうもわたしの演出指導との相性が合わず、稽古がかえってストレスになってしまったということのようです。
ここのところ、演出指導のなにがまずかったのか、またこばゆきがどうして演出についてゆけなかったのか、いろいろ想像することはできますが、決まった答えなんか出せるものではないので、とにかくこばゆきの辞めたいという意思を尊重して、メールで連絡があったのですが、了解しました、と返信しました。
大事なことですが、ATは社会人中心のアマチュア演劇活動グループなので、まあやっぱり楽しくなければあんまやる意味もないわけで、こばゆきがかえって負担になったりストレスだと感じてしまったのだとしたら、それは大いに尊重されねばならず、残念ですが仕方のないことでした。
(かといって、けいちゃんの演出はそんなスパルタとかじゃないからね!やさしいよ!でもくどいかも・・・)
そんなこともあり、読み合わせの終盤からは、出演者はゲサク役の匠とヤスオ役のナヲそして紅一点となったキョウコ役のひとみの3人となったのでした。
結局、時間的にみても一番信頼も実績もあるメンバーが出演者となって、プラス演出のわたしと美術・演出手伝いのりょうの5人で、10月公演に向けての稽古が本格的に始まったのです。