④台本選定(前編) | 第三回公演の記録

2011年の12月から台本選びが始まりました。

 

台本選びは2010年のメンバー離散の原因にもなったことなので、今度は、前回の反省を踏まえて失敗しないようにと考えました。

 

2010年の活動記録で台本選定のガイドラインを記述しておりましたが、今回はキャスト4名を予定しておりましたので、そこまで厳密にはやらないで、以下のことだけを前提とし、それをメンバーに予め了解いただきました。

 

つまり、上演台本は演出のけいちゃんが探して決めるということ。

 

メンバーからの提案も受け付けるが、あくまで決めるのはけいちゃんであるということです。

 

それは、一つにはメンバー同士で平等に出し合って決めるのだと混乱を招きかねないからです。

 

大切なのは、本番の稽古・公演そのものを、参加してくれたメンバーが一通り体験する、ということだとわたしは思っています。

 

グループが離散してしまってはもともこもありません。

 

そしてもう一つは、やはり演出者がやりたいと思い情熱を傾けられるものでないと、上演に向けて演出するのは難しいからです。

予定としては、2月までには、台本を決めて、4月から本番の稽古をスタートさせる感じを想定していました。

 

台本選定は、今回も大変でした。

 

現時点でのATの台本選定は、原則キャストの人数、性別にぴったりあったもの探すことになります。

 

今回の場合は、女2男2という構成でしたので、そういう構成の台本を探すことになります。

 

また台本選定の決定者が演出者ということは、基本的には演出者本人が台本を探してメンバーに提案しなければなりません。

 

しかし既存の膨大な戯曲の中から、面白くて、キャスト構成があっていて、やってみたいと思うものを探すというのは非常に骨のおれる、労力を要する作業となります。

 

そしてこのことに関しては、既にわたしのパートナーとなっていたしろれさに大いに助けられました。

 

まあ夫婦で、台本探しというわけです。

 

また台本探しと言っても、仕事があるので毎日一日中戯曲を読んでいるわけにはいかないので、主に土日に集中して書店や図書館、インターネットなどを通して、条件にあう戯曲を探し、読み続けていました。

 

ところが困ったことにわたしは戯曲を読むのがとても遅くて、一本読み終えるのに、2~3時間位かかってしまいます。

 

このスピードで一日何本も戯曲を読むのは大変なのです。

 

ところが、しろれさはわたしと違って、読むスピードが速く、わたしが2時間以上かかる戯曲でも、40~50分位で読んでしまいます。

 

しかも読みも意外と正確です。

 

ですので、実はかなりの戯曲の情報をしろれさから提供してもらいました。

 

年が明けて、2012年、やっとの思いで、たどり着いたのが、『今度は愛妻家』という戯曲でした。

 

出演者4人で、男2女2でキャスト構成もばっちりでした。

 

内容は割とベタな王道的なラブストーリーでした。そうそう、書き忘れていましたが、今回、台本の選定にあたって、戯曲の内容の条件としては、お客さんにとっては見ていて分かりやすいもの、というのがありました。

 

第二回目の公演は、台本は面白かったのですが、難解なところがあり、上演の出来は悪くはありませんでしたが、内容についてはよくわからないという感想もいただいていたので、次やる時は、基本、べたな、筋を追ってゆけば納得できるような、分かりやすいものをやろうと決めていたのです。

 

そして『今度は愛妻家』は、そういう意味でもぴたり合っていると思われました。

 

早速、2012年1月の2回目の稽古の時に、メンバーに戯曲を紹介し、役を振って、読み合わせをしてみました。

 

メンバーの評判もよく、これでいきましょうというところまでこぎつけたのです。

 

12月から1ヶ月半あまり、本当に大変だった台本探し、これでやっとこのしんどい作業から解放されると思った矢先、思ってもみないことが起きてしまったのです。

 

というのは、既存の出版されている戯曲というのは、公演で使用する場合は、著作権の問題で、著作権者(つまり著者)に上演の許可をもらわなければなりません。

 

そこで、出版社に上演許可の件で、作家の連絡先を教えてほしいと電話を入れました。

 

すると思ってもみない返事が返ってきたのです。

 

担当者が言うには、この戯曲については、著者から一切上演許可しないということを言い渡されている、というのです。

 

上演許可しないということは、つまり誰もこの作品を上演できないということです。

 

まさか著者が上演許可していないなんて!よもやの結末でした。

 

目の前が真っ暗になりました。

 

また一から台本探しのやり直しです。

 

すぐにメンバー全員にその旨を連絡して、もうしばらく、台本に関して待ってもらうことになりました。

 

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