アマチュアシアターの稽古場での最終稽古は、いつも公演日(日曜日)の前々日の金曜日です。
この日だけは、メンバーに有給休暇をとってもらって仕事を休んで稽古に参加してもらいます。
つまり、本番を含めた直前の3日間は、みんなに演劇のことだけ考えてもらいます。
そして、金曜日の最終稽古が終わると、翌日は、劇場入りです。
そこで①仕込み、②場当たり、③ゲネプロをやります。
演出者であり、現場の責任者であるわたしにとっては、この前日の劇場での仕切りが最後の山場となります。
とにかく、上に挙げた3つのことをびしっと仕上げないと、本番の幕は開かないわけですから。
わたし的には、いつになく厳しい表情になります。
まず仕込みですが、これは、舞台セットの設営と、照明道具の仕込みがメインになります。
劇場入りは10時ですので、これを15時までの5時間で終わらせます。
照明は、プロの照明家さんにお願いしているので、彼に従い、手の空いているメンバーが手伝いながら、やってゆきます。
舞台設営に関しては、お願いした舞台製作会社のフラワートップさんが二人で来てくれたので、幕つりに関しては二人の指示を仰ぎながら、主にATのメンバーとお手伝いさんがやり、パネル(部屋の壁)の設営は、お二人にお任せしました。
言うのを忘れていましたが、仕込み日と本番は、役者だけでなくお手伝いしてくれる人が必要なのですが、今回は、以前、アマチュアシアターとご縁があった方を中心に4~5人集まってくれました。
おかげで、作業もさくさく進み、時間通り、仕込みを終わらすことができました。
手伝ってくれたみんなには本当に感謝です。
ところで、今回のATの現役メンバーは、男はわたしとゴンジだけで、後は女優陣3人です。
女優陣にはあまり、力仕事とかさせられないので、仕込みの前日、金曜日の夜に劇場に搬入していた二段ベッド(組み立て式)を組み立てて装飾する作業を、わたしを中心にやりました。
そして、幕が出来上がり、パネルも立ち、そこに二段ベッドを付けてみると、なかなか立派な感じに舞台が出来上がりました。
ちょっと意気が上がる感じです。
そして、ちょっと休んで今度はすぐに場当たりです。
場当たりとは、主に、照明や音響のきっかけになるところを(主に転換のところが多い)中心に、抜き稽古をしてゆくことですが、基本は、照明や音響の確認になります。
また役者にとっても、実際の照明や音がどんな風に見えるか、聞こえるかを確かめる場でもあります。
場当たりをするにあたっては、場当たりの進行表をというのを既にわたしの方で作っておいて、当日、スタッフや役者に配ってそれを見て、場当たりをやってゆきます。
舞台はできたけど、本当にこの舞台と照明・音響プランで、稽古場でイメージしたとおりにできるのか確認することにもなります。
非常に大切な稽古ですし、これをしっかりやっておかないと、本番、思いもよらないようなトラブルが起こるかもしれないので、更にその進行を責任者であるわたしは、気合いが入り、表情が厳しくなります。
この場当たりで、一番気にしていたところは、2点あります。ひとつは、例のゴンジの二段ベッドから、壁裏の脚立への乗り移りのシーン、そして、各シーンから次シーンへの転換時の時間です。
結果的には、場当たりでは、何の問題もなく、ゴンジの壁裏への乗り移りは成功しました。ここは2、3回試してみましたが、ゴンジからも問題ない、大丈夫という風に言われ、ぼくはほんとにホッとしました。
そして、直前になって、壁の高さを1.8mにしてほんとよかったと、結果的な幸運に、感謝しました。
もうひとつのポイントは、転換です。
今回もそうですが、役者は初舞台が役者4人中3人で、転換明かりの暗さや、舞台裏での暗さなど、体験するのはみんなはじめてです。
そして、はじめての舞台裏での着替えなど、役者は初めてづくしの経験ですので、うまく稽古の時のように動けるか心配でした。
もちろん、稽古場でも本番の舞台の感じにできるだけ近い状態で稽古をするように努めてきましたが、それがうまく功を奏するか心配でした。
大幅に転換時間が超過してしまうのではとも思いました。
しかし、結果的には、転換もスムーズに進み、場当たりはほぼ滞りなく、進みました。
役者ががんばってくれて、ほとんど稽古場でやっていた通りのことが舞台の上でも実現されました。
ちなみに場当たりには3時間取りました。
そして、いよいよ、この日のメインイベント、ゲネプロが始まります。
ゲネプロとは、照明・音響・衣装等全てつけてやる通し稽古のことです。ゲネプロは予定通り19時からすることになりました。
ゲネプロが終わって、上演時間は、ほぼ稽古場でやっていた通り、カーテンコールを入れて、2時間5分でした。
ダメ出しは、ほんのちょっとしかしなかったかと思います。
芝居の出来は・・・・、良かったんじゃないかと思います。
ここまで来たのだから後は、本番に役者に頑張ってほしいと願うばかりです。
そして、これをもって、演出者のほとんどの仕事は終了しました。
本番は、役者が全てなのですから。